治療

治療の種類

WM/LPLの治療は、患者さんの年齢および合併症の有無、また血液検査所見や異常なタンパクの増え方をみて決定されます1)

注意深い経過観察

WM/LPLと診断されても症状がない場合には、無治療で注意深く経過観察する(無治療経過観察)こともあります。
治療を必要とする症状がある場合には下記のような治療を行います1,2)

血漿交換

過粘稠度症候群(かねんちゅうどしょうこうぐん/異常なタンパクが増えたことによる頭痛や鼻血、意識障害など)が認められたときに実施されます。
人工透析と同じような方法で、Mタンパク(異常なタンパク)を機械的に体の外に取り除く治療法です。

薬物療法

薬物療法には、抗がん剤による化学療法と分子標的薬を用います1)
化学療法は、抗がん剤を使ってがん細胞の増殖を阻止する治療です。
分子標的薬は、がん細胞内外にあるタンパク(抗原)や遺伝子をターゲットとして、がん細胞を効率よく攻撃します。
WM/LPLでは、B細胞表面に多く発現するCD20という抗原に結合してがん細胞を攻撃する分子標的薬を中心とした薬物治療が行われます。
それぞれを単独で使ったり、分子標的薬と抗がん剤を合わせて治療する方法もあり、患者さんの状態に合わせて薬物療法の組み合わせが検討されます。
また近年、飲み薬の分子標的薬も登場しています。

  • 1)日本血液学会編: 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版,金原出版, 2023.
  • 2)関口直宏: 臨床血液. 60: 988-997, 2019.
監修:
災害医療センター 血液内科 医長 関口直宏 先生