WM/LPLについて

原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞性リンパ腫(WM/LPL)とは

私たちの体には、細菌やウイルスから身を守る免疫機能が備わっています。
この働きを担っているのが、血液の中にあるリンパ球です。
リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)は、悪性リンパ腫という血液のがんの一つで、リンパ球の一種である小型Bリンパ球、Bリンパ球が分化してできた形質細胞、さらには形質細胞になりかけのBリンパ球(リンパ形質細胞)ががん化して過剰に増える病気です。
がん細胞がMタンパクと呼ばれる異常なIgM(IgM型Mタンパク)をたくさん作り出す場合には、原発性マクログロブリン血症(WM)と呼ばれます1)

発症頻度は非常に低く、まれな疾患です2)
一般に高齢者に発症し、男性の患者さんがやや多くなっています3)

  • 1)日本血液学会編: 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版,金原出版, 2023.
  • 2)Juárez-Salcedo LM, et al.: Hematol Oncol Clin North Am. 33: 639-656, 2019.
  • 3)Castillo JJ, et al.: Br J Haematol. 169: 81-89, 2015.

Bリンパ球

白血球の一種で、免疫グロブリンというタンパク質(抗体)をつくって、細菌やウイルスから体を守る免疫機能を担っています。

  • ※IgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5種類
Bリンパ球Bリンパ球

リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)

がん化したBリンパ球、リンパ形質細胞や形質細胞が骨髄、リンパ節、脾臓、肝臓などで増えます。
発症後の進行はゆるやかで、年単位で進行していきます。
進行すると、リンパ節や肝臓、脾臓に腫れがみられます1)

原発性マクログロブリン血症(WM)

LPLの診断基準を満たし、さらに、がん細胞が作るIgM型Mタンパクという物質が血液中に増えた患者さん(LPLにIgM型Mタンパク血症を伴う患者さん)はWMと診断されます。まれな低悪性度B細胞性リンパ腫のひとつです2)。LPLと同じく、年単位でゆっくりと進行します。

  • 1)日本血液学会編: 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版,金原出版, 2023.
  • 2)関口直宏: 日本臨床. 79: 352-358, 2021.
監修:
災害医療センター 血液内科 医長 関口直宏 先生