治療を始める基準と予後予測

病気に関連した症状や合併症が認められたときにWM/LPLの治療を開始するか検討します1-3)。
なお、症状がなくても、血清IgM値が4,000mg/dLを超える場合には、すみやかに治療を開始する必要があります1, 2)。

治療を始める基準
具体的な症状があらわれたとき
持続する発熱、盗汗(顕著な寝汗)、体重減少、貧血、倦怠感(だるさ)、リンパ節や肝臓、脾臓の腫れ3)
血液検査所見
ヘモグロビン値≦10g/dL、血小板<10万/μL3)、血清IgM値が4,000mg/dL以上1,2)
合併症があらわれたとき
過粘稠度症候群(異常なタンパクが増えたことによる頭痛や鼻血、意識障害など)、末梢神経障害(手足のしびれ)、腎障害など3)
治療開始後の予後予測
WM/LPLは、病気の進行のしかた(予後)が、患者さんによってさまざまに異なる病気です。
これから治療を開始する患者さんの治療開始後の予後を評価する方法として、スコアリングシステムが報告されています4)。
予後が悪くなる要因がいくつか知られており、合計スコア(0~5点)が高いほど予後が悪くなることが考えられます。
- 年齢 66~75歳:1点
- 年齢 75歳超:2点
- β2ミクログロブリン≧4mg/dL:1点
- 血清LDH≧250IU/L:1点
- 血清アルブミン<3.5g/dL:1点
- 1)Leblond V, et al.: Blood. 128 : 1321-8, 2016.
- 2)関口直宏: 臨床血液. 60: 988-997, 2019.
- 3)日本血液学会編: 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版,金原出版, 2023.
- 4)Kastritis E, et al. : Leukemia. 33 : 2654-61. 2019.
監修:災害医療センター 血液内科 医長 関口直宏 先生