WM/LPLについて

WM/LPLの頻度や原因

WM/LPLは、年単位でゆっくりと進んでいく病気です。
発症頻度は非常に低く、まれな疾患です。

血液がんになるメカニズム

  • 血液は多くの血液細胞からできており、赤血球、白血球、血小板の3つが血液の主成分です1)
  • これらの血液細胞を含む細胞は、遺伝子をコピーしながら細胞分裂を繰り返し、その過程で遺伝子や染色体に傷がつくことでがん細胞が生じます2)。このようながん化した血液細胞が自己をコピーし続けることで血液がんとして広がります。
  • 血液細胞の成長のプロセスにおいてがん化はどこでも起こりえるものであり、血液がんは非常に多くの種類があります1)。白血球のうちのBリンパ球が分化・成熟段階でがん化したものがWM/LPLです。

WM/LPLの頻度

  • WMの発症頻度は年間で人口100万人あたり2~3人であり、非常にまれな血液のがんです3,4)

発症年齢・性別

  • WM/LPLは高齢者に多い病気で、米国のデータベースではWM患者さんの年齢中央値※は70歳となっています5)
  • 女性よりも男性でやや多く、男女比はおよそ1.4:1です5)

※患者さんを年齢順にみたときに、中央に位置する年齢のこと

WM/LPLの原因

  • 患者さんの約9割に、MYD88という遺伝子の変異が認められます。この異常によってWM/LPLが発症すると考えられています6)
  • 1)飛内賢正(監). 血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫(健康ライブラリーイラスト版), 講談社, 2015.
  • 2)Tomasetti C, et al.: Science. 355: 1330-1334, 2017.
  • 3)Vijay A, et al.: Blood. 109: 5096-5103, 2007.
  • 4)関口直宏: 臨床血液. 60: 988-997, 2019.
  • 5)Castillo JJ, et al.: Br J Haematol. 169: 81-89, 2015.
  • 6)Treon SP, et al.: N Engl J Med. 367: 826-33, 2012.
監修:災害医療センター 血液内科 医長 関口直宏 先生
監修:
災害医療センター 血液内科 医長 関口直宏 先生